脊椎圧迫骨折(高齢者)

概要

高齢者の脊椎圧迫骨折は外傷や骨粗鬆症で起こります。
外傷:下肢筋力やバランス能力低下による転倒で起こり、激しい痛みを伴います。
骨粗鬆症:65歳以上の女性や生活習慣病のコントロールが不良である高齢者に起こります。痛みを伴うことが多いですが、自覚症状がなく、単純レントゲン写真で偶然発見されることがあります。
治療:特注のコルセット装着と薬物療法を行います。痛みが最初の半分以下になったところで、股関節や足関節の柔軟性向上を目的としたリハビリテーションを行います。痛みが改善しない場合は椎体形成術(骨折で潰れた部分に経皮的に骨セメントを注入する)を検討します。

詳細

背骨(脊椎)が外力や体重によって押しつぶされるように骨折する状態です。最も多い原因は骨粗鬆症で、閉経後の女性に多くみられます。転倒などの軽い外傷をきっかけに起こることもあれば、体重を支えきれず自然に発症することもあります。
そのほか、交通事故やスポーツなどによる強い外傷、がんの骨転移、ステロイド薬の長期使用が原因となることがあります。

症状

動作時の背中や腰の強い痛みで、身長が2cm以上低くなった、背中が丸くなった(亀背)といった変化がみられることもあります。

診断

単純X線検査で行い、骨粗鬆症が疑われる場合には骨密度検査も実施します。

治療

特注のコルセットやギプスによる固定と安静が基本で、痛みに対しては消炎鎮痛薬を使用します。改善しない場合は、椎体形成術などの手術療法を検討します。原因が骨粗鬆症である場合は、その治療も並行して行います。

側弯症

概要

側弯症の80%以上は原因不明(すなわち特発性)です。さらに特発性は年齢で分類され、10歳以上で起こる思春期型が最も多いとされています。学校検診で指摘された場合は、校医から整形外科受診を勧められます。当院では年齢によって治療法が異なる側弯症を定期的に経過観察し、必要に応じて連携病院に紹介します。

総論

立った状態で前屈した際に肩の高さや肩甲骨の出方に左右差があれば側弯症を疑います。学校検診で指摘されることが多く、指摘されれば整形外科を受診します。整形外科で背骨の単純X線撮影を行い、正面像・側面像で左右・前後の曲がり方に異常があれば側弯症と診断します。
種類:姿勢や他疾患が原因で起こる機能性側弯症と、背骨そのものの変形による構築性側弯症に分けられ、後者の多くは原因不明の特発性脊柱側弯症です。特発性側弯症は発症年齢により乳幼児型、学童期型、思春期型に分類されます。

症状

肩の高さの左右差、肩甲骨の突出、ウエストラインの非対称がみられ、進行すると腰や背中の痛みが出ます。

診断

視診や前屈テスト、X線検査によるCobb角の測定で行います。

治療

治療はCobb角25度未満では経過観察、25~40度では装具療法、40度を超える場合は手術療法(脊柱変形矯正固定術)が検討されます。特に90度以上ある場合は呼吸器障害が起こることが多いため早めに連携病院の受診を勧めています。

後縦靱帯骨化症

概要

後縦靭帯骨化症は難病に指定されており、徐々に進行していくことがあります。進行すると上肢の痛み・しびれ・筋力低下の症状が強くなり、手術が必要となります。当院では生活指導とともに神経痛に対して薬物療法や超音波下神経ブロック注射を行なっていきます。

詳細

後縦靱帯骨化症は、椎体の後方にある後縦靱帯が骨化し、脊髄や神経を圧迫する病気です。中高年の男性に多く、特に頸椎での発症が多いとされています。

症状

首の痛み、手足のしびれや痛み、運動麻痺、歩行障害などで、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。
診断には単純X線検査、CT、MRIを用い、骨化の状態や神経の圧迫程度を評価します。

治療

軽症であれば薬物療法や装具療法を行い、神経圧迫が強い場合には前方や後方からの除圧固定術や椎弓形成術といった手術療法を行います。

黄色靱帯骨化症

概要

黄色靱帯骨化症は、脊柱の後方にある黄色靱帯が肥厚・骨化し、脊髄を圧迫する疾患です。中高年男性に多く、胸椎や腰椎で発症することがほとんどです。
足のしびれや痛み、運動麻痺、歩行障害、筋力低下、膀胱直腸障害がみられ、進行は比較的ゆっくりです。

診断

単純X線検査やCT、MRIといった画像検査で行います。

治療

軽度であれば薬物療法やリハビリテーションを行い、症状が進行している場合には椎弓切除術などの手術療法が検討されます。

腰痛症

概要

腰痛症とは、腰部に痛みや不快感が生じている状態の総称です。
原因が明確な特異的腰痛と、画像検査などで原因が特定できない非特異的腰痛に分類され、後者が全体の約75%を占めるとされていました。しかし、2019年の腰痛診療ガイドラインでは整形外科専門医が診察した場合、腰痛の75%以上が診断可能であり、診断不明の非特異的腰痛の割合は約22%だったという記載があります。また、腰痛症は複数の原因が重複している場合も多いため、当院では腰痛症の診断をする際に問診や診察、画像所見から慎重に判断します。特異的腰痛には腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが含まれます。発症からの期間によって急性・亜急性・慢性に分類され、慢性化すると再発を繰り返しやすくなります。

治療

原因疾患があればそれに応じた生活指導、薬物療法、超音波下ブロック注射やハイドロリリース、リハビリテーション、装具を用いた治療を行います。原因不明の非特異的腰痛でも生活指導、リハビリテーション、薬物療法を組み合わせることで改善することが多いです。

ぎっくり腰(急性腰痛症)

概要

急な動作をきっかけに腰に強い痛みが生じる状態です。
原因が特定できないことも多いですが、椎間板ヘルニアや筋・靱帯損傷などが隠れている場合もあります。

治療

消炎鎮痛薬や神経ブロック注射を行い、痛みが軽減したら可能な範囲で体を動かしていきます。強い痛みが長引く場合は圧迫骨折、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアや化膿性脊椎炎を疑いMRIなどの画像検査や血液検査を行います。

腰椎椎間板ヘルニア

概要

椎間板が破綻し、内容物が神経を圧迫することで腰痛や下肢痛を引き起こす疾患です。若年層にも多くみられます。

症状

腰痛、下肢痛が中心ですが、重症例では筋力低下や膀胱直腸障害が出現します。

診断

診察による神経学的検査とMRIによる画像検査を中心に行います。

治療

約7割は薬物療法、仙骨硬膜外ブロック、リハビリテーションで痛みの改善が見られます。痛みが改善しない場合や筋力低下・膀胱直腸障害がある場合には手術療法を行います。

腰部脊柱管狭窄症

概要

腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎部分の脊柱管(脊髄のある管)が狭くなり、神経が圧迫されることで症状が現れる疾患です。加齢による背骨の変形が主な原因で、高齢者に多くみられます。

症状

長時間の座位や立位で下肢痛やしびれが増悪します。また、歩行で下肢の疼痛やしびれが増悪し、休憩で軽減する間欠性跛行があります。

診断

単純X線やMRIによる画像検査で行います。

治療

薬物療法、仙骨硬膜外ブロック、リハビリテーションを行い、改善が乏しい場合には手術療法が検討されます。